キミキス

東雲版に引き続き、赤いちご連載中の糸杉版も単行本が発売しました。
オールヒロイン15歳以下。どこがだ。
まあ、やっても仕方の無い事ではあるのですが、2作を個人的に比較してみたいと思います。


東雲版はVarious heroinesと銘打っているように、
1巻に1ヒロインずつ、物語毎に登場人物の関係もリセットという形で進行しています。
これは物語が分岐していく形のゲームのコミック化としては、ある意味最も素直な方法だという
気もするのですが、一人の作者がこういう形で描いていった作品というのは、
寡聞なだけなのかも知れませんが、あまり聞き覚えがありません。
対して……いや、対する事もなく糸杉版も同様の形を取っていますが、
こちらは1巻1ヒロインどころか1話1ヒロインという読みきり形式になっています。
このあたりは月2回刊のヤングアニマルと、隔月刊(元は不定期?)の
チャンピオンREDいちごという掲載誌の違いによるところが大きいのでしょう。


作画を比較すると、東雲版の方が少し作者の味が強く、
糸杉版はスマートな……もしくはシンプルな印象。
個人的には糸杉版の方が、いわゆる"ギャルゲー"的な絵柄な気がしますが、
むしろ東雲版の方が高山箕犀氏の絵柄に近いようにも見えます。
どちらにせよ、ゲーム版に偏執的な思い入れでも無い限りは問題の無いレベルだと思います。


当然の事ながら、前述の構成の違いは内容にも大きな違いを生んでおり、
オーソドックスな体裁を取る東雲版に対し、糸杉版は各ヒロインのプロモ的な
向きが強く、物語として捉えるには少々読み応えが足りないと言わざるを得ない
部分があるのも事実でしょう。
(東雲版も1ヒロインあたり1巻という分量は読み応えがあるというほどの量では無いのですが)
ただ、読み応えに欠けるとはいえ、出来は決して悪くなく、最低限の情報は盛り込みつつも、
詰め込み感を感じない上手さがあります。
東雲版の魅力はやはり描写の濃さ。別に即物的にエロいってわけでもないですが、
いわゆるドキドキイベントシーンの迫力はゲームを凌駕しているような気もします。


ただ、あれですかね〜
糸杉版は摩央姉ちゃんの(摩央姉ちゃんへの)膝チューが無いし、
わかられてる方々にとっては残念な出来なんですかねえ。
東雲先生がやりすぎって気もしますが。
しかし、こうして比べてみると、あの秋田の核実験場with萌えみたいな
雑誌に載ってるほうがあっさりしてるってのは不思議な感じですが。