ベクシル 2077 日本鎖国

こういう撮影方法(制作方法?)のアニメを3Dライブアニメというらしく、
単純に言えば、モーションキャプチャーとトゥーンシェイダリングの組み合わせによるもののようです。
そのため、当然の事ながら動きはアニメというには生々しい感じがします。
シェイダリングはアニメっぽいと思えるラインを意識的にキープしているのでしょうか、
これは複数のラインを見比べでもしないと、これがベストだったのか結論を出す事は無理ですが、
個人的な意見としては"アニメだ"と思えるこのラインは有りだと思いました。
これ以上緻密な色分けや、髪の毛の一本一本まで動かすような演出は■にでも
任せておけばいいのではないでしょうか。
あそこはフルCGアニメですが。


で、内容に関してですが、映像面に関しては非常に高いレベルに仕上がっています。
パワードスーツやバギー、戦闘マシーンなど、デザインラインそのものは目新しくも何ともない
使い古されたものですが、実際にそれが動き回るシーンは素直に凄いと思えるものでした。
ただ、物語のクライマックスというところで、何故かアクションを前面に押し出さず、
絵的にたいして面白みの無い状況になってしまっているのは、正直失敗だと思います。


物語の方は残念な事にいろいろな面で……むしろほとんどの面で薄味過ぎでした。
まず声が黒木メイサなのも別に気にならない程、主人公が薄味。
(実際、ネタになるほど下手でもありませんが。個人的には特に気になりませんでした)
タイトルにもなってるくらいなんだからベクシルが主人公のはずなんだけど、
彼女に関係する全てのエピソードが中途半端。それも、イマジネーションを刺激するような
中途半端さじゃなく、ほんとただの説明不足、エピソード不足という感じです。
物語冒頭、ロボット兵器を毛嫌いする発言があるものの、じゃあ過去に何かあったのかと思うと、
特にエピソードが挿入される事も無し。クライマックスシーンにそこからひっぱってきたセリフが
出てくるものの、ロボットを毛嫌いする理由が明示も暗示もされないため、なんの感慨も無し。
もう一人の重要人物、マリア(正直、こちらを主人公にした方が良かったと思う)との
男を巡る恋の鞘当も非常に中途半端。
その他、敵味方を問わず、とにかく多くのエピソードが深く突っ込まれる事もなく、
投げっぱなしジャーマン状態で進行して行きます。


ただ、逆に言うと、いちいちいろんな面で「惜しい」と思わせるだけのものがあるのも事実で、
悪くないネタ振りは出来ているのだから、もう少し一つ一つ丁寧に回収していれば、
もう少し見応えのあるドラマになっていたのにと思うと残念でなりません。


というわけで、個人的にこの作品、映像は非常に魅力的だったものの、
ストーリーはあまり高く評価出来ないものでした。
とはいえ、109分という上映時間を全く退屈をささずに
いさせてくれたのは事実で、金を損したと思わされるほどのものでもありませんでしたが。。
しかし、10分、20分長くしてでも、もう少しエピソードの補完が出来ていれば
かなり満足のいく作品になっていた気もするだけに、返す返すも残念でなりません。





で……全国的に序の公開が始まったアレですが、香川に来るのは10月に入ってからのようです。
見に行くのかなぁ、俺。やっぱり行くんだろうなぁ。
青春の総決算というよりは、もはや触れたくも無い何かと化している感もあるんですが。
いっそ、馬鹿みたいに明るいエヴァになってたら面白いのにな。
シンジ君が「使徒どもは俺が一人残らず殲滅してやるっ!」とか熱血ヒーロー化してたり。
むしろ「黙れ!そして聴け!我が名は(ry」とか親分化してる方が良いな。
もはやエヴァでも何でも無いけど。