うどん屋巡り(裏)

さて、いよいよ肝心の味について語りたいと思う。
ぶっちゃけて言ってしまえば、これまで物凄い衝撃を受けるほど
うどんを美味いと思った事は無いし、今回もそうだった。
これは真実、自分の舌がたいしたことないのかもしれないが、
個人的には魚沼の人間がコシヒカリを食べて腰を抜かすのか?
というのと同じ事だと思う。
うどんなんて美味くて普通なのだ。
ああ、多分、本当に衝撃を受けるのは、とんでもなく不味いうどんを
食べた時かもしれない。
これを書きながら、そう思えてきた。


それはそうとして、今回もっとも印象的だったのは、はりやの麺だ。
はりやで食したのがざるだった為、釜玉などよりコシがあるのは当然なのだが、
それを差し引いても尚、強烈な……というか強靭なと形容したくなるほどのコシ。
まるで闘いを挑んでくるかのようなその麺を、歯で噛み切り捻じ伏せるその瞬間は、
うどん食いは格闘技だと言わんばかりのスペクタクル。
ただし、本当に冗談抜きで物凄いコシの強さのため、箸で切るのは多分無理。
歯が弱い人や、コシのあり過ぎるのは苦手な人には少々お勧めし難い。
そして、一本あたりの長さも結構長いので、ざるを行儀良く……というか綺麗に
食べるには慣れが必要かもしれない。まあ、うどん屋でそんなこと気にする必要も無いのだが。
おそらく、今回の三件の中では最も評価が別れる麺だと思うが、
ともかくインパクトは抜群なうどんだった。

蛇足。かしわざると、普通のざるの値段差300円か350円は、決して高いものではないが、
個人的には、この組み合わせ、YESだね!と思うほどではなかった。
普通のざるでも良かったかもしれない。
いか天ざるだったらまた違ったかもしれない。


逆に、今回もっとも麺にコシを感じなかったのが山越だった。
ただし、これは釜玉という食べ方からして、当然といえば当然の事で、
ひやかけ等であれば、また違った印象を受けた可能性はある。
そして、ここの場合は麺そのものよりも、釜玉山かけという完成品としての
うどんに注目するべきかもしれない。
いい味の出汁に、山芋のとろとろ感、それに薬味(多分、わさび)がほのかに香り、
それはまさに味覚のトリニティ・ラヴァーズ・ストライク。
食べ方としてならば、今回これが一番好みだった。


たむらの麺は、コシは両者の中間……というにははりやのコシが強靭すぎるので、
山越よりになるか。
今回の3軒の中では、もっとも好みのコシ加減だった。
というか、毎日食ううどんが、はりやの麺だったらしんどい。
惜しむらくはメニューが、かけ、釜上げ、しょうゆしか無い事か。
本当に美味いうどんなら、つゆなど醤油だけで十分と田尾さんが
言ったかどうかは知らないが、変わった食べ方大好き人間としては、
あまりにもシンプル過ぎるメニューは寂しさを覚えるのも事実。
ここのうどんで、山越のつゆで釜玉を食えたなら……
……出来るんだけどね。
たむらの麺と山越のつゆを購入(買えます)。
両者を手にして自宅へGO。
そのうち実現させてみたいと思う。