姑獲鳥の夏

……流石に今日は真面目な感想を。
この映画を原作を読んでない人がどのくらい見に行くのかわかりませんが、
原作読者にとっては「見た目は良い薄味味噌汁」と言ったところではないかと思います。


「君なんかは、見た目は良い薄味味噌汁と言うと否定的に、
 見た目が良い薄味味噌汁と言い直すと肯定的にとってしまうだろう、関口君」
「そりゃあ、だって、君、見た目は良いと言うと、それ以外は良くなさそうなものじゃないかね」
「だが僕は見た目以外は悪いとは一言も言ってないんだぜ?
 見た目が良いと言った方だって味については全く言及していない。
 それなのに君は、見た目は良いものは味は悪い、
 見た目が良いものは味も良さそうと判断しているわけだ」


……以下、延々と続くこういったやり取りが原作の魅力の一部であるわけですが、
映画館でそんなものを延々と見せ付けられても非常に感想に困る代物に成り果てるわけで、
そうでなくとも、普通にやっていてはとても2時間に収まる話でもないため、
細かな部分が全体的に切り落とされ、その結果が、上記の評価になったわけです。
原作読者として、映画を見てすぐは「ま〜こんなもんかな」というところでしたが、
帰宅してから原作と比較すると、削られたのが気になる部分が目に付きます。
文句ばかり言ってるけれども、スタンダードに上手い取捨選択をしてるとは思うんですがね。
もしシーン付けたしまくられた完全版DVDなんてものが出るならば欲しいところ。


映像は少々カットバックを使いすぎてる感はするものの、
美しい、上手いと思えるシーンも各所に見受けられ、満足。
……おかしなシーンも結構あったけど。
夜道を歩いてるシーンで人物にスポットライト浴びせるのはどうかと思うわ……舞台劇じゃあるまいし。
あ〜意外とこの作品、映画より舞台劇の方があってるのかも……とちょっと思った……
全編終わるのに半日かかるか。


役者で気になったのは木場役の宮迫。役者が悪いんじゃなくて、選んだ奴が悪いんだけど。
なんで大木を思わせる厚い胸板と太い腕を持つ大男が宮迫になるんだ。
……まあ、なんでビスクドールのような美男子が阿部寛になるのかもわからんけど。
堤真一陰陽師姿も迫力が足らないし、言い出したらキリが無い部分ではあるものの、
全体と通していえば、役者に対する不満は微々たるものでした。
一番イメージ通りだったのは(多分)里村役の人かな……パンフにも乗ってないけど……
それよりも永瀬正敏が関口君を良く演じてたかな。


というわけで、ちょっとお勧めはし難いですが、原作ファンなら見に行くも一興ではあると思います。
出来れば、レイトショー割引とかで。